川越ニューサウンド全作品AppleMusicで配信開始記念〜せっかくだからアーティスト別に振り返ってみよう!

今年も無事新作をリリース、同時に今までの作品を含めてAppleMusicでの配信も開始しました。ということでここで改めて過去作品を紹介させていただきたいと思います(アーティスト名をクリックするとAppleMusicのアーティストページにアクセス出来ます)。


metaphoric
CONFIRMED LUCKY AIRinitiative sense plans
confirmed lucky air (2010)
initiative sense plans (2011)
現在カセットレーベルzootapesを主催している佐々木秀典がグループでのスタジオセッションを録音しそれらの音源を使って編集、再構築を行った1作目(厳密にはセカンドアルバム)。それに感銘を受け、その後に佐々木が録音した様々な素材を使って庭野が編集した2作目。両者に共通するのは即興セッションを素材としていることと、それらをDAW上で編集しているという点。どちらも90年代〜ゼロ年代初期に影響を受けた作品でありながら、佐々木はドローン的なアプローチの音響作品、庭野はテクノ、ポストロックなどのビートを強調した作品であり、それぞれの遍歴が総括されたような対照的なサウンドになっている。


Takayuki Niwano
SURROUNDLYELEKTRICITY
Surroundly (2012)
Elektricity (2014)
Beatifically (2016)
metaphoricの活動を一区切りしそれぞれの活動に移っていく。音楽的なネットワークを広げながらアンダーグラウンドシーンを形成しようと精力的にイベント企画や制作、他アーティストのバックアップなどに取り組む佐々木、それらの一部を共同で企画、参加しながらも庭野はレーベルの運営に力を注いでいく。年に一枚アルバムをリリースするという公約を打ち自身の制作環境を整えながらアルバムを想定した曲作りを始めmetapphoric2作目の翌年に初のソロアルバムをリリース。DAW環境での制作ベースでありながらもそのセオリーには囚われない発想、90年代の影響下から脱却し次世代へつながるような音響作りを目指し、既存のダンスビートを解体したような奔放なエレクトロアコースティックを志向したサウンドが一部で評価を受ける。その後1stで構築した制作ベースを発展させバグやエラーなどを誘発させるグリッチ・ノイズを独自の解釈で制御しハーモニーやリズムを展開させた2nd、さらに解釈を飛躍させグリッチや電子音そのものを解放させるというコンセプトを音像化させた3rdの三部作リリースに至る。


DENNIS DENIMS
DENNIS DENIMSLIVETOURISM
DENNIS DENIMS (2013)
livetourism (2015)
庭野の3枚のソロアルバムリリースの間の年に2枚のアルバムを制作したこのグループはmetaphoric活動期にライブイベントで出会ったsonny+starcutsという電子音響ユニットと庭野によるトリオ編成から後に映像作家で音楽家でもある高安恭ノ介が加入し四人編成となった。左記ユニットのメンバー堀口の指揮(ほぼ全編に渡りミックス、編集を担当)により氏の音楽遍歴が伺えるアメリカンルーツやアシッドムーブメント以降の音響シーンなどが混じり合った無国籍なコラージュサウンドが展開された。


Taylor Deupree
ニューヨークで電子音響レーベル12kをオーガナイズ、90年代から先進電子音楽を牽引してきたアーティスト。99年に氏がコンパイルしたコンピレーションアルバムmicroscopic soundで電子音響シーンを更新したことは記憶に新しい。近年では坂本龍一とのライブセッションやコラボ作品リリースなどかねてから日本の音楽シーンとの繋がりも深いデュプリー氏は当レーベルのほぼ全作品のマスタリングを手がけている(metaphoric”initiative sense plans”のみcorey fullerだが、彼もデュプリー氏と繋がりのあるアーティストで12kから作品もリリースしている)。
※当レーベルのアーティストではありません。